2021.08.18
派遣社員を直接雇用へ転換することで、支給される助成金があることをご存じでしたか?
国が推進している「働き方改革」の支援策の一つが、「キャリアアップ助成金」です。
「キャリアアップ助成金」とは、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度で、非正規雇用労働者を正社員へ雇用転換したり、処遇改善の取り組みを実施したりした事業主に対して助成金が支給されるものです。
■「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」とは? 気になる助成額は?
「キャリアアップ助成金」は、取り組み内容により7つのコースが設けられています。その一つが「正社員化コース」。派遣社員など有期雇用労働者を正規雇用労働者(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員といった多様な正社員を含む)に転換または直接雇用した場合に助成金が支給されるもので、助成額は下表のようになっています。
中小企業の場合 | 大企業の場合 | |
①有期→正規 | 57万円 [72万円] |
42万7500円 [54万円] |
②有期→無期 | 28万5000円 [36万円] |
21万3750円 [27万円] |
③無期→正規 | 28万5000円 [36万円] |
21万3750円 [27万円] |
さらに、派遣社員を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合(①と③の場合)は、上記の金額に28万5000円が加算されます。つまり有期雇用の派遣社員を正社員として直接雇用に切り替えた場合の助成金は、57万円+28万5000円=85万5000円となります。
※表中の[ ]内の金額は、生産性の向上が認められた場合の金額です。生産性の向上が認められる要件については、厚生労働省のHP「生産性を向上させた企業は労働関係助成金が割増されます」にてご確認ください。
■「キャリアアップ助成金」を活用するためには
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」を活用するためには、以下のような要件を満たしている必要があります。
【1】6カ月以上、自社で雇用した有期契約労働者を正規雇用(無期)へ転換すること。もしくは6カ月以上、自社で受け入れた派遣社員を正規(無期)として直接雇用すること。
【2】正規雇用へ転換した際、転換する前の6カ月と転換後の6カ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること。
【3】正規雇用後、6カ月が経過していること。
※上記のほかにも、「キャリアアップ助成金」が受給できない事業主、対象とならない労働者など、細かい規定がありますので、詳細は厚生労働省の「働き方改革特設サイト 支援のご案内」にてご確認ください。
■助成金の申請に必要な手続きは?
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」を申請するためには、まず最初に「キャリアアップ計画書」を作成して提出する必要があります。正社員化コースの場合は、転換後6カ月の賃金を支給してからの申請となり、申請を出した後も審査等に時間がかかり、申請を出してから実際に助成金が支給されるまで半年近くかかるケースもあります。
2022年3月31日までの間、対象労働者の要件が拡充され、紹介予定派遣の場合も使いやすくなっています。この機会にぜひ一度、ご検討ください。
エンプロでは、MAC社会保険労務士法人と業務提携をしております。「キャリアアップ助成金」に関する詳しい説明や諸手続きに関するご相談、ご質問などがございましたらお気軽にお問い合わせください。
(掲載している情報は、2021年7月時点のものです。内容が変更になる場合もあります。最新の情報は厚生労働省のHPにてご確認ください。)